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再生可能エネルギーの拡大の障壁は何?3つの課題について紹介。

再生可能エネルギーを使う町のイメージ図
カーボンニュートラル、つまり二酸化炭素の排出量がゼロとなる社会とするために、政府はグリーン成長戦略を作り上げ、昨年末に発表しました。このグリーン成長戦略については、過去記事で詳しく解説していますが、その記事では実現の鍵となるのは、次の3つの技術であると述べました。

  1. 水素
  2. 再生可能エネルギー
  3. 蓄電池を含む送電インフラ

この記事では、このうち、再生可能エネルギーに関して、技術的な課題として、どのようなものがあるのかを論じています。文系の人にも理化してもらえるようにできるだけかみ砕いて説明していますので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。 

torotoroupaupa.hatenablog.com

 

【目次】

 

政府が考える2050年の電源構成

まず政府が考えている2050年の電源構成はどのようなものでしょうか。

 

※引用:脱炭素社会の実現に向けた「グリーン成長戦略」【経産省

グリーン成長戦略で示されたCO2削減の方法

 

上記の資料内に記載がありますが、

  • 再生可能エネルギー(水力発電含む):50%(7000億kWh)
  • 原子力及び火力発電(CO2固定):30~40%(4200~5600億kWh)
  • 水素・アンモニア発電:10%(1400億kWh)

とあります。ここで火力発電は、化石燃料を燃やすんだから二酸化炭素(CO2)を出すやんと思われる方もおられるでしょう。もちろんそのとおりで、火力発電所では、発電しているときに煙突から二酸化炭素は大気中に出しています。しかし、2050年までに二酸化炭素だけを分離回収して大気中に出ないシステムを導入する予定です。もう少し詳しく説明すると、煙突から出る二酸化炭素を回収して、地底に埋めたり、その二酸化炭素から化学物質を作ったりします。

 

ちなみに今の電源構成は、資源エネルギー庁の記事によると、2018年時点で

  • 火力発電:77%(8,094億kWh/年)
  • 再生可能エネルギー:17%(1,787億kWh/年)
  • 原子力発電:6%(631億kWh/年)

です。

 

つまり、今から30年後の2050年までに

  1. 再生可能エネルギーを約4倍(1800億→7000億kWh/年)
  2. 火力発電を今の約1/3(30%)に減らす(8000億→5000億kWh/年)
  3. 原子力発電は維持
  4. 水素及びアンモニア発電を実用化し、10%分を担う(1400億kWh/年)
  5. 二酸化炭素を分離回収して大気中に出さない技術を開発

を実現させる計画です。今回の経産省が提示したグリーン成長戦略では、この計画をどう実現するかを示しています。

meti-journal.jp

 

なかなかハードな目標ですよね。この記事では、この中で再生可能エネルギーの拡大について、どのような戦略で課題は何かについて、詳しく書いていきます。

 

(水素及びアンモニア発電や二酸化炭素の分離回収については、機会があれば記事にします。)

 

再生可能エネルギーを4倍にするには

そもそも再生可能エネルギーとはなんぞやと思う方もおられるでしょう。再生可能エネルギーは、太陽光や地熱、風などの自然にあるエネルギーのことです。この再生可能エネルギーを用いて発電すれば、自然の力のみを利用するので、二酸化炭素は出さずにクリーンに電気を作ることができます。事例としては、古くは水力発電が代表的です。ほかには太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電が挙げられ、海の潮の流れを利用した潮流発電とかも検討されています。

 

国の指針や資源エネルギー庁、経産省、各業界団体からの資料を元に、再生可能エネルギーの現状の導入量と2050年の導入目標としては、以下のとおりです。

再生可能エネルギーの現状の導入量と2050年の導入目標を解説したグラフ
 図:再生可能エネルギーの種類別の導入計画(2050年時)

 

これらの発電量の数値は、次の資料から引用もしくは、資料のデータを元に試算しました。

【引用元】

①脱炭素社会の実現に向けた「グリーン成長戦略」【経産省
②日本のエネルギー問題をグラフで学ぼう(後編)【資源エネルギー庁】

③風力発電の導入見込量について【環境省】

 

図から数値を抜き出すと、以下のとおりです。

  • 水力発電:900億kWh/年、変化無し
  • 風力発電:約73億kWh/年から1500億kWh/年(約20倍に)
  • 太陽光発電:現状は約800億kWh/年。増加目標は提示無し。
  • 地熱/バイオマス:現状は約270億kWh/年。増加目標は提示無し。

※先に示した再生可能エネルギ-の合計値1783kWh/年と合っていないが、試算している根拠資料が異なるため。

 

グリーン成長戦略では、風力発電と太陽光発電の2点に関して、開発項目として提示されていました(※)。風力発電と太陽光発電のそれぞれについて、課題を見ていきましょう。

 

※:バイオマス発電にもグリーン成長戦略内で言及されていますが、規模を大きくするのではなく、森林資源の有効活用が主目的と判断し、ここでは省きました。

 

風力発電の拡大への課題

洋上風力発電の写真
日本で風力発電を拡大するための一番の課題は、日本特有の環境と風力発電を行っている日本メーカーがいないことによるコスト高でしょう。

 

日本における風力発電での発電コストは、2016年時点で13.9円/kWhで、世界平均の 1.6 倍程度と高い。(参照:NEDO 『技術戦略研究センターレポート TSC Foresight』(Vol.27、2018 年7月))ただし、このコストは、LNG(天然ガス)火力発電の13.4円/kWhとほぼ変わりません。なお、世界と比べてか高い原因は、次の2点です。

  • 風力発電を立地しやすい場所が少ない
  • 風力発電システムを作っているメーカーが日本にない

特に風力発電システムを作っている日本メーカーがないことから、海外企業から足下を見られてしまい、高い価格で購入せざるを得ません。

 

また、日本は、立地しやすい場所が少ないです。さらに立地できても、次の要因から故障しやすい環境にあるために、海外に比べて風力発電の設備利用率は低いこともコスト高の大きな要因となっています(以下にある図17参照)。

  • 山岳地帯が多く突風が起きやすい
  • 台風
  • 雷が多い

日本と外国を比較した「風力発電の設備利用率」のグラフ

引用:NEDO 『技術戦略研究センターレポート TSC Foresight』(Vol.27、2018 年7月))

 

立地については、陸上に設置するか海上に設置するかで課題が変わってきます。欧州では、陸上に設置できる場所がなくなってきたので、洋上に風力発電を設置するようになってきました。特に欧州では陸地から離れても海が浅い場所が多いので、コスト安くたくさん設置できる見込みです。

 

しかし、日本は陸地から離れるとすぐに海が深くなるために、安く設置できる場所が限れられます。その状況を回避するために浮体式を検討していましたが、昨年末に失敗が報じられており、先行きが心配です。

mainichi.jp

 

太陽光発電の拡大への課題

太陽光発電の課題は、風力発電と同様に安く設置できる場所が少なくなってきていることです。太陽光発電の導入可能な量は、環境省や経産省などが試算していますが、環境省が提示している「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書」によると、18円/kwhと火力発電による発電コスト13円kWhより少しコストを高いことを受け入れたとして、5,000億kWh/年しかなりません。しかし、目標としている4330億kWh/年は、充当しています。

 

しかし、火力発電並の発電コストを12円/kWhに設定した場合、全く足りなくなります。そのため、ここでも発電コスト低減が必要になってきます。今回のグリーン成長戦略では、触れられていない点が気になりますが、この問題こそしっかり対応していく必要があるのではないでしょうか。

 

再生可能エネルギーを増やす際の共通の課題

再生可能エネルギーを増やす際の共通の課題は、やはり常に発電量が一定にならない点でしょう。太陽光発電は、昼しか使えませんし、昼でも天気が悪いと発電量が少なくなります。風力発電は夜も使える点は良いですが、風が強すぎる日や弱い日は使えないため、安定ではありません。

 

この課題については、

  • 発電量が調整しやすい火力発電でカバーする
  • 蓄電池を組み合わせる

が挙げられています。また、蓄電池の代わりに再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を作り、これを貯めておく方法も良いかもしれません。

 

まとめ

政府が作成した計画では、再生可能エネルギーによる発電が2050年の主力になる予定です。しかし、再生可能エネルギーの主力となる風力発電や太陽光発電は、設置コストが火力発電と比べて高い点が課題です。

 

また、再生可能エネルギーは、自然に依存した不安定な電源なので、どう安定化させるかが鍵になるでしょう。

 

今回は、再生可能エネルギー普及への課題について、解説してきました。正直、ちょっと長い記事ですね(笑)最後まで読んでいただきありがとうございました。