管理職の昇進試験にあるインバスケット試験ですが、どう勉強すればいいのかが分からずに困っている人は多いのではないでしょうか。
実は、一度、昇進試験で落ちた私も同じです。最初、よく分からないまま勉強し、試験対策したつもりになって受験したのですが、さんざんでした。
ここでは、失敗をもとに私が行ったインバスケット試験向けの勉強のやり方やコツについて、紹介していきます。なお、要点だけお伝えすると、「昇進して給料が増えるんだから、その分、惜しまずに自分に投資をちゃんとしましょう」です。
- 失敗した1回目の受験時に行った勉強方法
- インバスケット試験で私が合格するために行った試験対策
- インバスケット試験の本番までに身に付けておくべきこと
- インバスケット演習で問題集を解くときに意識しておくべきポイント
- まとめ
失敗した1回目の受験時に行った勉強方法
皆さんにどのくらいの勉強量が必要かを感じてもらうために最初に失敗した1回目の受験時に行った勉強方法について、説明します。
1回目の受験時は次の2つをやりました。
- 導入本を読む
- 演習問題を3回分、解く
おそらく、一般的な受験生の取り組みではないでしょうか。正直、センスのある方はこの取り組みで十分です。というよりも、最低限の勉強量といってもいいと思います。なので、皆さんもとりあえずこの勉強方法でインバスケット試験に慣れてみましょう。なお、私はセンスがなく、1回目の試験では落ちてしまったので、もっと地道な努力をしておけばと結果を聞いた後、痛感し、後悔しました。
導入本を読む
導入本は、インバスケット研究所 鳥原隆志さんが書いた「インバスケット思考」を読みました。
この本の特徴は、他の本と違い、実際の試験に似せた演習問題と得点を稼げる具体的な回答例が多く載せています。つまり、純粋に試験対策を目的として書かれているということです。私は他の本も読み比べてみましたが、この本以外はおおまかな回答の記載に関する注意は書かれているだけで、どうやれば点数が高くなるのかの説明はほとんどありませんでした。
以上から、昇進試験を受けることが決まり、インバスケット試験がどんなものかを分からない方は、この本から勉強に入ることを私はおすすめします。
また、この本以外でも、以下の記事でインバスケット試験に関するおすすめの本や問題集をまとめて紹介していますので、参考にしてみてください。
演習問題を3回分、解く
導入本だけでこのインバスケット試験をクリアできる人いるでしょうが、そのような人は間違いなく天才です。多くの人は天才ではありませんので、確実に昇進試験をクリアするためにも試験本番までに必ず試験本番と同等レベルの演習問題はやっておきましょう。演習問題は、本屋にもありますし、本番にさながらのインバスケットの問題集がネット販売で売っています。
最初の試験では、私はネット販売(下記リンク参照)から3冊、購入しました。なお、1冊が実際に受けるインバスケット試験1回分に相当します。
www.in-basket.jp
なお、上記リンクの問題集には、解答用紙が付いているので、本番と同じ状況で演習できる点が良かったです。また、私は上記のリンクの中でレベル2(問題集RB-2、問題集J)とレベル3(RC-2)を取り組みました。
1回目の昇進試験のときは、通常の試験のように時間を計りながらこの問題集を解き、その後、解答と解説を見て終わりにしていました。つまり、1回だけ解いただけで根拠のない自信を身に付けて満足していました。(正直、なめていたんでしょうね。。。)結果は・・・本番、あまりにもできなさ具合にもっとやっておけばよかったと後悔しました。。。
失敗した一回目の昇進試験の対策に費やした勉強時間
ここまで紹介した二つの勉強に費やした時間ですが、だいたい本を読むのに3時間程度、試験問題を1問といて復習するのに3時間かかるので、合計で12時間程度です。日々の業務もありましたし、正直、昇進試験自体を甘く見ていたので、この程度でも相当やりこんだと思っていました。
インバスケット試験で私が合格するために行った試験対策
今まで1回目の試験のときに行ったインバスケット試験の対策を解説してきましたが、何度も書いていますが、不合格でした。不合格となった理由はいくつかありましたが、インバスケット試験の不出来だったことは、落ちた主な原因でした。
1回目の試験に落ちたことで、自分の甘さを身に染みました。反省の結果、なんとなく問題集を解くだけで対策終了としたのは問題であり、私のような凡人が解き方のコツを身につけるためには今までに解説してきた対策では不十分だったと判断しました。
なお、1回目のインバスケット試験で何が問題だったのかの詳細は下記の記事を参考にして下さい。
そこで、さらに踏み込んだ演習として私がおすすめするインバスケットの勉強方法は下記の2つです。
- 問題集を繰り返し解く
- 通信教育による採点サービスを使う
正直、目新しくないし、1回目に行った試験対策と何が違うのと思われた方も多いのではないでしょうか。ただ、よく考えていただきたいのですが、インバスケット試験は普段の仕事の状況と異なりますし、今までの学校のお勉強のような答えがあるものでもありません。
つまり、どうしてもインバスケット試験への慣れが必要となってくるので、地道な努力が必要になります。1回目は、ここを理解できておらず私は失敗しました。
では、それぞれについて、解説していきましょう。
問題集を繰り返し解こう
問題集を最低、3回は繰り返し解くことを三冊以上やりましょう。つまり、3冊×3回の9回、インバスケットの演習問題をやっておくことをおすすめします。
ここで、問題集なんて、一回解けば問題の中身や回答を覚えてしまうから意味ないと思う方もおられるかもしれません。でも、受験を思い出して下さい。志望校の過去問を何回も繰り返し解いたけど、毎回、全問正解にはならなかったのではないでしょうか。また、過去問を繰り返し解いていない方も、以前に見た記憶のある問題を1回も間違ったことはないと言い切れますか。おそらく、そのような人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
つまり、インバスケットも同じく、同じ問題を繰り返し解いても意外に覚えていません。たとえ、覚えていたとしても、1回目の回答よりも良い回答を書くことを意識して解けば良いのです。同じ問題を繰り返せば、自身の回答の書き方のスタイルを固められ、内容把握のコツを身につけることができます。
さらに1回目の回答と2回目の回答を必ず比較してください。だれでも回答に癖があるので、自身の回答の傾向を理解できます。傾向を元に自身の回答の癖を修正し、高得点につながる回答へ修正していくようにしましょう。
勉強時間にして、一回の問題を解いて見直しするのに3時間程度、かかるので、合計で最低27時間は必要となります。そのため、万全の状態で昇進試験に臨むためにはなるべく早くインバスケット試験の勉強を始めましょう。ちなみに私は5冊の問題集を上記の方法でやりこみました。
通信教育による採点サービスを使おう
問題集には回答例が付いています。それを元に自身の回答を見直すだけでももちろん、勉強としては正解です。ただ、もっと簡単な方法があります。
それは、専門業者の通信教育を受講しましょう。通信教育では、本番のインバスケット試験で採点をしている試験官の方に採点してもらえます。なお、通信教育のポイントはただ採点をしてくれるだけでなく、こういう回答の方が高得点になるというアドバイスをもらえる点です。
インバスケット試験の勉強をする上で一番、困るのは、得点の高い回答がどんなものかが分からないことです。しかし、通信教育を受ければ、採点基準がわかるので、このお困りごとを解消できてしまいます。この点が通信教育を受ける一番のメリットです。
そして、有益な情報をお伝えしましょう。おそらく、あなたのライバルでこの方法をとっている方は、意外にいないはずです。つまり、スマホゲームの課金と同じで、お金さえ使えば簡単にライバルに差を付けられます。
※通信教育をやっている業者は、googleで「インバスケット 通信教育」といったキーワードで調べて気に入った業者をご自身で探してみて下さい。
インバスケット試験の本番までに身に付けておくべきこと
ここまでインバスケットの試験対策について、解説してきました。では、この勉強する際にどのようなことを身に付けておく必要があるのでしょうか。1回目の失敗の時、私はこのあたりの技術が必要ということを認識せずに漠然と本を読んだり、問題集に取り組んだりしました。
しかし、二回目に臨む際にこれから説明することを認識したうえで試験対策することでインバスケット試験に自信を持って臨むことができたので、紹介していきます。
読む速度を上げる
インバスケット試験では、回答にどれだけ時間をかけられるかが高い評価を得るためのポイントになります。そのために行えることは、最初に全案件を読む時間をいかに短縮できるかだけです。
つまり、インバスケットの試験対策を行っている際に読むスピードを上げられるように意識していきましょう。なお、読むスピードを上げるためには、いかに案件に書かれた内容を効率的に読み取るかしかありません。この辺りは、試験対策の段階で試行錯誤してみましょう。
例えば、問題集を解く際に以下の方法が自分に合っているか試してみてください。
- 最初はポイントだけを読み飛ばす感じにして、詳細は回答を書くときに確認して解いてみる
- 1回目を読むときは、大事だと思う部分をマーカーで色付けする
- 重要度や緊急度は、最初の直感で決めることにする(あとで迷って変更しない)
- あとでまとめやすいように色の違う付箋を使って優先順位付けする
- 最後に探す手間を省くためにクリップを使って関連する案件はまとめていく
- 自分に合った定型のメモ形式を導入し、要点をまとめやすくする(まとめるポイントを最初から決めておく
なお、一部のサイトや本では、速読術を学ぶことを推奨していますが、昇進試験までに時間がある方であれば試してみてもよいと思います。というのも、速読術を身に付けるのはかなり時間が必要となるので、インバスケットの試験対策という観点のみでいえば私は学ぶ時間をかける割には得られるものが少ないと感じているからです。
自分に適した時間配分を身に付ける
試験対策のために勉強している際に必ず身に付けてほしいのは、時間配分の感覚です。案件を読む時間をどのくらいにするか、1案件あたりの回答を書く時間をどのくらいにするのかを決めておきましょう。
こうすることにより、本番で解いている時間が早いのか遅いのかの目安となり、時間調整しやすくなるので、終わりが近づいてきてまだ案件が処理できていないと慌てるリスクを減らせます。
なお、案件の回答時間ですが、重要なものとそうでないもので差異を付けて目安を付けておいたほうがいいです。例えば、優先順位の上位5位までは1案件でこれぐらいと長めにとっておくなどです。
スケジュールや組織表の使いやすいやり方を探す
インバスケット演習では、参考資料としてスケジュールや組織表を配られます。いずれも参考資料なのですが、案件を処理するうえで必要な資料となります。本番では、机が小さくて資料を使いにくいケースも想定され、それらをいちいち探すことにより時間ロスが発生します。
それを避けるために、試験対策の段階で机が狭いことも想定して、どんなケースでも組織表やスケジュールを取り出させるようなやり方を探しておきましょう。たとえば、スケジュールや組織票にあたる付箋を用意しておいて、いつでも取り出せるようにしておくとか、決まった位置に保管しておくなどです。
メモを整理する癖をつける
実はインバスケット試験は、回答用紙に書かれたものだけでなく、自身が状況を把握するために残したメモなども試験官は採点の参考にしています。これは、どうしてその回答に至ったのかプロセスを見ることにより、情報収集能力や分析力、問題発見力といった受験者の能力を見ることができるためです。
つまり、メモといえど、自分がわかればいいという認識で走り書きにしてしまうと、得点をあげる機会を捨てることになります。試験対策の段階で、どうしてその判断に至ったのかを試験官が認識できるように証拠を整理して残すようにしましょう。
メモ書きは、案件の問題点や利害関係者が誰か、情報、案件の重要度の判定、関連した資料や案件が何かなどを残すとよいでしょう。ただ、この辺りはメモを残すことを意識しすぎて充実させてしまうと、最も重視している採点対象である回答を書く時間が減ってしまい、本末転倒です。そのため、問題集を繰り返し解く際にどのくらいなら負担がないかの目安を探すとよいでしょう。
また、メモ書きで整理することが難しいのであれば、重要なポイントにアンダーラインを引くことや何かしらの記号でチェックを入れるといった工夫もアリです。その場合、試験官に対して、アンダーラインや記号の意味をメモ書き解いて残しておくことを忘れてはいけません。
インバスケット演習で問題集を解くときに意識しておくべきポイント
ここまで、インバスケット演習の勉強方法及び試験対策について、解説してきました。これらの試験対策を行うことで、インバスケットの得点は安定するはずです。
しかし、さらに試験対策の効果を高める方法があります。それは、高い評価を得やすい回答のコツを知ったうえで問題集を解くことです。そのコツは、端的に言えば、うまく与えられた役割を理解し、その役割に応じた行動や言動を行うことなのですが、どうすればそういった行動や言動ができるのかを13個のポイントでまとめた記事をnoteで作成しました。
なお、この記事は有料なのですが、値段以上の価値はあると自負していますので、購入を検討してみて下さい。
まとめ
インバスケット試験は、ペーパーテストですが、試験の仕組みへの慣れが必要であり、回答方法にもコツがいります。その分、時間とお金を費やせば、実力として身につきやすい試験なので、惜しみない自分への投資をおすすめします。ここで、時間の投資は、問題集を繰り返し解くことで、お金の投資は専門業者の採点サービスを使うことです。
たいていの会社の昇進昇格試験は、1年に1回の開催でしょう。なお、私の会社では、2年連続で受けることは認められていませんでした。場合よっては、1回しか受けられないという会社もあるかもしれません。
つまり、1回のチャンスを逃すと、それだけ昇進が遅くなり、ひいては生涯年収に響いてきます。ここで、時間やお金の投資をした方が良いと言いましたが、私がやった方がいいと言っているのはたかだか数十時間の勉強時間と10万円程度のお金です。
もし昇進すれば、10万円程度の年収が上がらないことはないはずです。つまり、1年もすれば、投資した分以上の収入を手に入れられます。(もしあがらないなら、責任ばかり増えてしんどいので、昇進しないほうが良いと私は思います。)どちらを選べば良いかは、自明だと私は思います。
なお、私は2回目の昇進試験で受けたインバスケット試験で特に落ち度もなく終えることができ、昇進試験に無事に合格できました。
(※インバスケット試験だけでの結果はもらえないので、インバスケット試験が高得点だったのかはわかりませんが、人材アセスメント試験は私が受けた母体の中では上位層に入れました。)
この記事を参考に皆さんも頑張ってくださいね。