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インフルエンザとコロナウィルスの同時パンデミックはあり得るの?

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今、新型コロナウィルスの患者数が毎日、テレビなどで報道されています。患者数や重症者数ばかりにクローズアップされているので、違う角度から記事にしてみたいなと思い、この記事を書いています。

同時パンデミック(ツインパンデミック)はあり得るのか

冬に入る前によく聞いた話ですが、冬になるとインフルエンザも流行し始めて、コロナウィルスとともに同時流行、いわゆるツインパンデミックが起こってしまう可能性があるとのこと。

 

もし、ツインパンデミックが起こってしまうと、医療崩壊につながるので、そうなる前に対策を強化すべきだという主張です。しかし、ツインパンデミックは本当に起こる可能性があるのでしょうか。というのも、オーストラリアでは、今年の冬(6月~8月)にインフルエンザの流行がありませんでした。

 

【オーストラリアのインフルエンザの患者数】

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 出典:オーストラリア保健省

 

グラフの赤線が2020年です。3月の途中までは例年と同じでしたが、それ以降は患者数はほぼ0に近い数字が並んでおり、例年と比べて極端な差異が出ています。つまり、オーストラリアでは、ツインパンデミックが発生しなかったということです。

 

それでは、日本の現状はどうでしょうか。東京の現状を確認してみましょう。なんと、現段階の状況をみると、オーストラリアと同様の状況でほぼ0でした。例年ならば、すでに流行が始まっている段階なのですが、いまだに発生者数は例年と比較し、極端に少ないです。二か国のデータですが、ツインパンデミックは起こりにくい状況といえそうです。f:id:torotoroupaupa:20201214190705j:plain

出典:東京都感染症情報センター

 

この現象、実はインフルエンザだけではありません。夏に子供の間で流行する手足口病やプール熱(咽頭結膜熱)、ヘルパンギーナ、ロタウィルスといった数々の感染症が例年と比較して極端に低くなっています。下記は、手足口病を代表例に示していますが、もし他の感染症に関して、気になる方は、出典のリンクを見てください。

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出典:国立感染症研究所 感染者動向調査

 

マスクや手の消毒、うがいなどの対策が効果あると推定

これらの結果が何を示しているのかですが、2つの理由が専門家から指摘されています。

 

一つ目は皆さんが想像されている通り、新型コロナウィルス対策で行っているマスクの習慣や手の消毒、うがいなどの対策がインフルエンザの流行を抑えているということです。新型コロナウィルスとインフルエンザでは、どちらかというとコロナウィルスのほうが感染力が強く、そのために徹底した対策を行っているためにインフルエンザに対しては、効果を発揮していると言えるのではないでしょうか。
(一部のマスク反対論者の方が、意味はないと言っていますが、確かにコロナに対しては効果が薄いのかもしれません。しかし、インフルエンザなどの感染症には大きな効果を上げている可能性があるのといえるのではないでしょうか。)

 

二つ目は、「ウィルス干渉」です。これはあるウイルスが流行している状況では、他のウイルスの流行が抑制される現象のことを言います。私は知りませんでしたが、医学会などでは有名な現象らしいです。

medical.nikkeibp.co.jp

 

冬が本当にコロナウィルスが流行しやすいのか

この説も麻生太郎財務大臣やトランプ大統領の発言で注目されました。夏になったら、コロナウィルスが消えてしまうと。しかし、現実はアメリカも日本も第2波が夏に来ました。また、オーストラリアは確かに冬の時期に流行のピークが来ましたが、お隣の国のニュージーランドでは、冬の時期にはほとんど患者が発生していません。
(googleの検索で「国名 コロナ」と調べると、一番上に統計データが出てきますので、ぜひ調べてみてください。)

 

つまり、季節要因よりも感染対策の強さに起因しているといってもよいのではないでしょうか。もともと、インフルエンザや風邪が冬に流行するという統計データから、風邪の原因の一つであるコロナウィルスも同じだという思い込みにつながったのではないでしょうか。ただ、あくまで統計データからの私の推測の域を出ないため、研究者の見解をぜひ聞きたいところです。

 

まとめ

新型コロナウィルスとインフルエンザの同時流行は、現在のコロナウィルスの対策をしっかり続けていけば、オーストラリアの例からしても、起こりにくい状況と思われます。今後もデータを見つつ、この説が正しいか検証をしていきたいと思います。

再生可能エネルギーの普及の鍵のひとつ、人工光合成に注目

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管政権の所信表明演説にて、グリーン成長戦略が語られました。そのなかで、再生可能エネルギーの普及を進めるために次世代太陽電池として、ペロブスカイト太陽電池に注目します。詳しくは下記に記事にしていますので、参照して下さい。

 

torotoroupaupa.hatenablog.com

 

上記の記事の内容をまとめると、

  1. 所信表明演説で、再生可能エネルギーに注力すると宣言。
  2. 太陽電池業界で昔は日本企業は世界を席巻していたが、今は見事に転落。
  3. 「次世代型太陽電池」は、ペロブスカイト太陽電池のこと。
  4. ペロブスカイト太陽電池は、薄いので、フィルム状にできる。
  5. ペロブスカイト太陽電池はまずは屋内用途で、使うのがいいのでは。
  6. ゲームチェンジャーになって欲しいが、そこまでのものではない。

です。

 

この記事では、再生可能エネルギーの本命として、次世代太陽電池は大きな課題があること、他に有望な開発アイテムとして人工光合成があることを解説していきます。

そもそも再生可能エネルギーって、何があるの?

再生可能エネルギーというと、皆さんは何を思い浮かべますか?太陽光発電、風力、水力、この辺りはメジャーかと思います。詳しい方は、バイオマス、地熱発電を挙げられる方もいますよね。メジャーなものは、資源エネルギー庁のサイトで詳しく説明されていますので、参照してみてください。

参照:経済産業省資源エネルギー庁

www.enecho.meti.go.jp

 

他にも、海の流れを利用し発電する「海流発電」とか人が歩くことにより発生する振動で発電する「床発電」なども面白い取り組みでしょう。ただ、やっぱり、再生可能エネルギーはこれで決まりって手法はまだ見つかっていません。

参照:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「海流発電」

https://www.nedo.go.jp/content/100881511.pdf

 

・・・大体の再生可能エネルギーって、発電量が不安定だし、急に電力が欲しいってなっても、調整しにくいし。自然を相手にしているので、仕方ないですよね。

 

ただ、地球環境を守るためにも、この不安定さを解消する必要があります。今、ちまたで進められている対策は、一般に次の2つです。

  • 蓄電池を使って、再生可能エネルギーを蓄電する
  • 複数の再生可能エネルギーを組み合わせて、最適化する

 

再生可能エネルギーの普及のために

普及のために取られている対策について、ここで解説しましょう。

 

蓄電池を使って、再生可能エネルギーを蓄電する

蓄電池は、いわゆる「リチウムイオン電池」が一番、使われています。リチウムイオン電池は、昨年のノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰さんが開発しました。スマホやパソコンのバッテリーに使われており、最近は、電気自動車で大きな注目を浴びています。

 

このリチウムイオン電池は、実は、すでに家庭用の蓄電池として、太陽光発電と組み合わせて普及が進みつつあります。しかし、リチウムイオン電池は長い間、使うと性能が悪くなり、10年程度で交換が必要になると言われていることから、課題が残っています。短期間での交換が必要なのでは、環境にも懐にも優しくないですよね。

 

また、たくさんの電力を蓄えようとすると、それはそれはたくさんの蓄電池が必要になります。さらに、電池に電力を貯めるときにロスも生じます。つまり、蓄電池を使う場合、電気を効率よくいっぱい貯めることは、案外難しいです。

 

複数の再生可能エネルギーを組合わせて最適化

屋内での電力確保を目的として行われている取り組みがそれに当たります。この取り組みは、一般に「エネルギーハーベスト」という呼ばれています。周りの環境から微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して、電力に変換する技術のことで、別名「環境発電技術」とも。

ただ、あくまで屋内での取り組みに過ぎず、 現状は、火力発電で電力供給を調整して最適化しているのが現状です。

 

私が考える本命、人工光合成

ここまで再生可能エネルギーの弱点を補足する技術をふたつ、紹介しました。これらがあれば、安心と言いたいところですが、まだまだ課題があるために不十分です。

 

これらの課題を踏まえて、私が考える本命は、ずばり人工光合成」です。人工光合成は、太陽光エネルギーを使って、水と二酸化炭素から水素や有機化合物などを作り出す技術のことを言います。つまり、まさしく、皆さんが目にしている植物が行っている光合成をやってやろうという技術です。

 

「人工光合成って結局、太陽光を使っているやないの。何が太陽電池と違うの?」と思われたかもしれません。いえ、この技術は、太陽電池の一歩先を行っており、まさにゲームチェンジャーになれるポテンシャルを持っています。なぜなら、今までの再生可能エネルギーと違い、自然エネルギーで「発電する」のではなく、自然から得たエネルギーを「貯める」技術だからです。つまり、再生可能エネルギーの弱点だった、発電したエネルギーを貯められないという欠点を見事に消し去れます。

 

じゃあ、バイオマスと同じではと思う方もおられるでしょう。例えば、ユーグレナが「ミドリムシ」でバイオ燃料作っているものと何が違うのと。

 

確かに人工光合成とバイオマスのイメージは、同じといっても良いですが、バイオマスは大きな問題があります。それは、植物の光合成は意外に太陽から得たエネルギーを変換する効率が低く、1%程度の太陽光しか利用できていません。つまり、無駄が多いということです。

 

もし本気で再生エネルギーとして使用するならば、一般に10%程度のエネルギー変換効率がないと、実用化が難しいと言われており、バイオマスだと不足しています。

 

そこで、人工光合成の出番。こちらは、植物を使わずに行うために変換効率の向上が見込め、実用化が見込める変換効率10%超えも可能とされています。だだ、今のところ、まだ、ようやく植物を上回った程度なので、今後の開発の進展に期待したいところです。

 

まとめ

今回の話をまとめると

  • 再生可能エネルギーは、種類はいっぱいあるけど、決め手に欠ける
  • 再生可能エネルギーの課題は、貯められないこと。蓄電池で課題を補完しているが、まだ不十分
  • 再生可能エネルギーの本命は、人工合成が有望

です。

 

以上、理系の話はいかがでしたか?興味を持ってもらえたなら、うれしいです。せっかく最後まで読んでいただいたので、ぜひ読者登録まで、よろしくお願いいたします。

日本の再生可能エネルギー復活の鍵、次世代太陽電池とは?

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2021年10月26日にあった菅総理の所信表明演説、皆さん、聞かれたり読まれたりしましたか?


私は、所信表明演説のなかで「グリーン社会の実現」というパートに注目し、特に「次世代型太陽電池」という単語には心が高ぶりました。なぜなら、私が研究者になった理由は、「地球環境を守りたい」という思いのためです。その思いを実現するために、太陽電池技術者になり、再生可能エネルギーの普及に微力ながら貢献できたと思います。

 

そんなこんなの流れがあって、ここはぜひ太陽電池について、もっと皆さんに知ってほしいと思い、所信表明演説にあった次世代太陽電池に関する記事を書いてみました。ぜひご一読ください。

太陽電池の日本メーカーの現状

私が太陽電池の技術者として活動し始めていた時期である2006年頃、シャープが世界シェア1位で、日本企業が上位5社中4社を占める勢いでした。しかし、2007年に欧州企業のQ-cellに世界1位の座を奪われ、その後、中国企業のすさまじい増産の結果、現在では、日本企業は残念ながら、世界シェアではTop10にも入っていません。

 

一方で、国内シェアに目を向けてみましょう。
こちらは、意外にもパナソニック、京セラ、シャープなどの国内企業が上位におり、シェアも4~5割程度を占めています。携帯などでも見られた、相変わらずの内弁慶、よく見たガラパゴス状態ですね。

 

しかし、注意すべきことがあります。日本企業の出荷分の約8~9割は、海外生産なのです。日本は人件費が高いから、海外で作るとか昔は言われましたが、現状は、中国も人件費は高騰し、そこまで日本と差がないのではというレベルです。そんな中でも国内でモノ作りすると、勝てないという状況は、個人的には悲しい気持ちでもあり、中国への敗北感さえ感じます。

 

 

なぜ太陽電池分野で日本メーカーが負けているのか

この問いに対する答えがなければ、たとえ今回、提案された次世代型太陽電池といえど、かつての半導体しかり、液晶テレビしかり、また負け戦になるでしょう。

この問いに対しては、様々な回答が用意されてきました。

  • 2005年で補助金を打ち切ったため、国内市場が冷え込んだ
  • 2010年代初頭に太陽電池の原料となるシリコンの確保に失敗
  • そもそも日本企業の太陽電池はコスト高い
  • 中国企業が採算度外視で、安売り競争を仕掛けてきた

などです。


いずれも答えとしては、外部環境を指摘しています。しかし、私は、内部環境に原因があり、日本企業は、戦略で負けたのだと私は考えています。

シリコン確保失敗?戦争するうえで、兵站確保は当たり前なのに。

補助金打ち切り?補助金はあくまで、導入してもらうきっかけなんだから、無くなる前提で動かないと。困るなら、オールジャパンとして存続する手段を用意すべきだった。

いずれも、将来の見通しの甘さからきている部分もあったと、今となっては強く感じます。

 

一方で、太陽電池業界で、成功した企業もあります。それは製造装置メーカーです。ある意味、このメーカーが中国メーカーを強くした面もありますが。結局は、日本は大量生産品を作ることよりも、顧客の要望に合わせるカスタマイズ品(多品種少量生産)が得意ということかもしれません。

 

所信表明であった「次世代型太陽電池」とは?

ここで、菅総理が述べた「次世代型太陽電池」とは、一体、何を指すのでしょうか?おそらく、横浜桐蔭横浜大学 宮坂教授が生み出した「ペロブスカイト型太陽電池」を指すものと思われます。

 

ペロブスカイト型太陽電池とはどんなものでしょうか。簡単に説明すると、

  • 有機-無機ハイブリット太陽電池
  • 従来のシリコン型太陽電池よりも圧倒的に薄くできる
  • 理論上はシリコン型太陽電池よりも高効率にできる

といったところです。

 

これらの特徴のうち、特に注目を浴びているのは、「薄くできる」点です。これにより、従来の太陽電池とは異なり、フィルム状にできます。フィルム上にすることで、今まで設置できなかった曲面部分、例えば、電気自動車のボディに使える可能性があることす。また、効率が高くなることで、日本の狭い屋根に乗せるためには大きなメリットでしょう。

 

次世代太陽電池の日本企業の取り組み

では、フィルム状のペロブスカイト型太陽電池は、日本企業の取組はどうでしょうか。現状、東芝や積水化学が開発に着手しており、実用化を目指している状況です。発電量に関わる変換効率は、シリコン型の20%越えと比較すると、12%程度とまだまだですが、今後の開発に期待したいところです。

参照:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

www.nedo.go.jp

 

ペロブスカイト型は屋内用途で展開すべき

管総理の演説では、原子力発電や石炭発電に置き換わりとなる電源として、再生可能エネルギーが期待されています。しかし、私としては、ペロブスカイト型太陽電池の活用先としては、電卓の太陽電池に使っているものと同じく、まずは屋内向けを提案します。屋内向けで、ある程度、生産技術を確立してから、通常の太陽電池用途へ展開していくべきです。

 

では、屋内向けにすることで、ペロブスカイト太陽電池に活路はあるのでしょうか?答えは、5G通信にあります。iPhone12の発売でも、注目を浴びている5G通信が本格化すると、様々なところにセンサが設置され、そのセンサからの得られる情報でさまざまなサービスが本格化すると言われています。

 

しかし、課題があり、センサを動かす電力をどう供給するかです。5Gが本格普及すると、約1兆個に上るセンサが動き、これを配線で電気を供給することはナンセンスのため、自立型で動かすことが必要になります。この電源として、フィルム形状の太陽電池が注目されています。フィルム型のため、曲面上にも設置でき、落下しても安全なので、ぴったりです。

 

この辺りに目をつけているのは、京都大学 若宮教授です。下記のニュースリリースでもあるとおり、目をつけており、さらに自身で大学ベンチャー(株式会社エネコートテクノロジーズ)を立ち上げている方です。今後も、注目してみていきたいと思います。

参考:国立大学法人 京都大学(若宮教授)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/191015_3.html

 

※もっとペロブスカイト型太陽電池を詳しく知りたい方は、googleなどで検索してみてください。

 

次世代型太陽電池で日本企業の巻き返しはあるか

まったくないとは言えませんが、可能性は低いと私は思います。なぜなら、ゲームチェンジャーになるほどのインパクトはないと思うからです

 

というのも、ペロブスカイト太陽電池でこの技術で日本が優位に立ったとしても、太陽光を受けて発電するという機能は同じで、ちょっと性能が良くて、曲がるくらいなので、素人からすれば、何が違うのよ、どっちでもいいやとなる気がします。正直、圧倒的な変化に感じれないですよね。

 

ただ、私の感想が間違っていて、ここで勝つことで、日本のモノ作りが再度、活況を取り戻すことができることを望んでいます。長くなってきたので、次回も同じテーマでお話しさせてもらいます。

 

興味を持たれた方は、ぜひ読者登録をお願いします。