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カーボンニュートラルって本当に実現できるの?グリーン成長戦略とは

カーボンニュートラル
管総理の所信表明演説で、前にこのブログでも紹介していますが、2050年までに「カーボンニュートラル」を達成すると宣言しました。

 

そもそもカーボンニュートラルって何って方もおられるかと思います。簡単に言うと、カーボンニュートラルとは、「地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない状態にする」ことです。二酸化炭素の排出は、石油や石炭などの化石燃料を燃やすことで行われます。つまり、2050年までに「カーボンニュートラル」を達成するためには、石油などの「化石燃料」に依存しない社会にする必要があります。

 

先日、この化石燃料に依存しない社会を実現するために何をすべきかを示した「グリーン成長戦略」が経産省から発表されました。その「グリーン成長戦略」とはどのようなものでしょうか。また、「グリーン成長戦略」の実現性はあるのでしょうか。この記事では、この辺を私なりの視点で論じていきたいと思います。

経産省が提示した「グリーン成長戦略」の概要

経産省は、2020年12月28日にグリーン成長戦略を発表しました。詳しくは下記にありますので、参照して下さい。

meti-journal.jp

 

ここで、国が提示している政策の概要は、次のとおりです。

  • 化石燃料発電を脱炭素発電に変更
  • 自動車や飛行機などの乗り物の電動化
  • ガソリンなどの燃料をバイオ燃料もしくは水素燃料に変更
  • 製鉄を石炭を用いないようにする(水素を用いて鉄を作る)
  • 省エネ推進

この概要を説明する図を提示してくれていますので、掲載します。なお、戦略の中で電気自動車とか水素社会とか書いてありますが、水素を作るのも電力、車を動かすのも電力が必要です。つまるところ、この戦略は、エネルギーは全て電気(電力)を使う社会にしましょうということです。そのため、二酸化炭素を出さないように電気を作らないければ、カーボンニュートラルは達成できません。発電方法の変革が戦略の肝と言っても良いでしょう。

 

経産省が提示したグリーン成長戦略によるCO2削減の取り組み

引用:脱炭素社会の実現に向けた「グリーン成長戦略」【経産省】

グリーン成長戦略の実現性

グリーン成長戦略の実現性があるかという問いに関して、私の考えは日本企業の世界での立ち位置と経済界のしがらみから、「2050年までに実現は無理では」と思っています。一方で、根性論で恐縮なのですが、私自身も属している「日本企業」の底力に期待したいです。

 

政府の資料にもありますが、カーボンニュートラルを実現するためには、今の生活やビジネスモデルの大変革が必要です。大変革を実現するためには技術面に加えて、技術を使えるようにするためにインフラ整備が必要になります。

 

政府試算では、この分野で世界で今後、3,000 兆円の投資が見込まれています。つまり、日本がどういう戦略を描き、実現させていく道筋をいち早く見つけるかが重要で、その成否でこの投資をどれだけ獲得できるかで今後30年での日本の産業競争力が決まってしまうでしょう。精一杯、頑張って欲しいところです。見せてやって欲しい、日本企業の底力!

 

実現の鍵となる技術の日本企業の状況

政府は14分野の開発項目を挙げていますが、その開発項目から読み取ったカーボンニュートラル実現のための技術に関するキーワードとしては、

  1. 水素
  2. 再生可能エネルギー
  3. 蓄電池を含む送電インフラ

の3つに絞られます。

 

この中の一つでも思うようにならなければ、化石燃料から脱却した「カーボンニュートラルの実現」はできません。ただし、それぞれに技術が抱える課題がどうなのか気になりますよね。その辺りについては、以下の3つの記事で詳しく紹介していきますが、日本においては、水素と再生可能エネルギーの2つは、課題が山積みです。

 

torotoroupaupa.hatenablog.com

torotoroupaupa.hatenablog.com

torotoroupaupa.hatenablog.com

 

特に再生可能エネルギーに関しては、競争力のある日本企業が少ないので、先行きが不安しかありません。太陽光発電は過去の記事でも述べましたが、日本のシェアはわずかで中国が覇権を握ってしまいました。風力発電は、日本で手がけている企業はありません。すでに欧州の企業が大きくなりすぎているため、今から日本企業が立ち上げることができるのでしょうか。

 

日本政府もその点はしっかり認識しており、今回の戦略でここを重点的にサポートするために2兆円をの基金を設定しています。しかし、規模感は十分でも期待に答えることができる日本企業がいるのかが心配です。

 

カーボンニュートラルによる変化への抵抗

これらの技術を実現されると、われわれの生活スタイルがまずは変わります。また、技術を適用させるためにも社会インフラが大きく変わっていくことになるでしょう。そのインフラの変化について、どのようなものでしょうか。一番、分かりやすい変化は電気自動車です。

 

先日のトヨタの社長が言っていましたが、この変化は日本の産業が直面する大きな危機です。日本の自動車産業は、高い品質や低価格のため、競争力を持っています。しかし、後発の中国や敗者のアメリカは、当然この状況は面白くありません。そのため、自動車業界の覇権を取るために電気自動車に力を入れています。

 

イメージとしては、ガラケーがスマホに、ブラウン管テレビが液晶テレビに変わったときと同じく、競争環境がガラッと変わってしまいします。そのため、現在の優位な状況を保ちたいトヨタ社長の気持ちも分かりますが、今までの日本メーカーが繰り返してきた同じ失敗を繰り返さないためにも競争力のある「電気自動車」を世に出して欲しいです。

 

他にも原子力発電にすでに投資している企業にとって、再生可能エネルギーばかりもてはやされることは自身の利益が減ることになるので、面白くはないでしょう。

 

このように既得権益をもつ経済界のしがらみを国がどう誘導していくのかがカーボンニュートラル実現の肝の一つだと思います。既得権益を持つ方の言い分ももっともだと思いますので、どううまく裁くのか日本政府の手腕の見せ所でしょう。ここで失敗したら、半導体、パソコン、家電、液晶テレビ、携帯、太陽電池など、失敗した事例がまた増えてしまします。ここはしっかり踏ん張って欲しいです。

 

最後に:「グリーン成長戦略」に対する私の評価

正直、グリーン成長戦略と銘打っていますが、どうしても管政権が急いで政策立案を行ったので、今まで提示されてきた政策の寄せ集め感が出てしまっています。ただし、グリーン戦略自体は、世界の潮流に乗っているので、産業の観点からも大いに評価したいです。グリーン成長戦略の内容は、今後、良い方向に変化していき、カーボンニュートラルが実現できることを期待して、この記事を締めたいと思います。

 

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