この記事をご覧の方は、管理職の昇進・昇格試験を受けることになったけど、何をしたらいいのかわからない方ではないかと思います。特に昇進・昇格試験では、多くの場合、一次試験として人材アセスメントが実施されますが、この人材アセスメント試験に関する勉強方法の情報が見つからなくて困っていませんか?
私は二回、昇進試験を受けていますが、一回目の試験のときにどうやって勉強すればいいのか、情報がなくて困りました。また、人材アセスメントを一回で突破できるようなセンスもなく、一回目の昇進試験は不合格という結果に。
しかし、人材アセスメント試験を実体験できたことで多くの学びを得られたために何をすべきなのかが明確になりました。学びから思いついた人材アセスメントの対策を実践していくことで、無事に二回目の昇進試験に合格することができました。このサイトではそこで得た人材アセスメント試験の勉強方法や対策に関して、皆さんに解説していこうと思います。
勉強方法を解説する前にそもそも人材アセスメント試験はどのようなものなのかご存じでしょうか。詳しくは、以下の記事でまとめているので、そちらを見て欲しいのですが、人材アセスメント試験は、次の4つの科目で実施されるケースが多いです。
- インバスケット試験
- グループディスカッション(グループ討議)
- 面接演習(面談演習)
- 分析演習(方針立案)
それぞれの科目ごとに別の対策を立てる必要があるのですが、全部を紹介すると長くなってしまうので、この記事では、グループディスカッション(グループ討議)に絞って、解説していきます。
なお、インバスケット試験の勉強方法が知りたいという方は以下の記事で解説しています。併せて、ご覧ください。面談演習は鋭意作成中です。
グループディスカッションの勉強方法
では、グループディスカッションの勉強方法について、解説していきましょう。私が2度目の昇進試験を受ける際に行った勉強方法のうち、効果があったものとして、以下の三つが挙げられます。
- 本で知識を身につける
- 職場の会議を利用する
- グループディスカッションの演習を行う
一つ目の勉強方法では、グループディスカッションで必要な知識や議論を円滑に進ませるテクニックや考え方を学んでいきます。二つ目と三つ目は実際に「討議」を経験し、力を身につける方法です。
本で知識を身につける
1つ目にあげるのは、「本で知識を身につける」です。私が学んだほうが良いと思った知識は、以下の3つです。
- 傾聴
- ロジカルシンキング
- ファシリテーション
以下では、それぞれの知識がどのようなものか、なぜグループディスカッションで必要となるのかを解説し、知識を身につけるために私がおすすめする本を紹介していきます。
傾聴
グループディスカッションで身につけるべき知識として、最初に挙げるのは傾聴です。この傾聴は、人材アセスメント試験の中で最も役に立つスキルだと私は断言できます。
詳しくは後ほど紹介する本を熟読してもらった方がいいのですが、本当に重要なスキルなので、まずは傾聴とは何かを簡単に説明しておきましょう。傾聴とは、文字どおり、他人の話に耳を傾けることです。さらにかみ砕くと、相手がどのようなことを話したいのか、伝えたいのかを言葉だけでなく、姿勢や表情、仕草にも注意を払って聞き取るスキルのことを言います。
傾聴を行う土台として必要なポイントとして、以下の3つが挙げられます。これらは、アメリカの心理学者であり、カウンセラーのカール・ロジャーズによって提唱した原則として、有名です。
- 共感的理解:相手の立場にたって、話を聴く
- 無条件の肯定的配慮:相手の話を聞く際に自身の基準で善悪や好き嫌いといった評価を行わずに相手の話を無条件に肯定して聴く
- 自己一致:話を聴いて分からないことができていたら、すぐに聴き直すなどして、真摯な態度で相手が何を伝えたいのかを把握する
この先は、傾聴を専門に解説した本が数多くあるので、本屋に行って自分に合う本を探して読んでください。傾聴は、ビジネスの現場で役に立つスキルなので、今後、昇進試験を突破して管理職になる皆さんには、部下との面談など、マネージメントの現場で使う機会が多いため、積極的に見つけることをおすすめします。
なお、傾聴に関して、私がおすすめするのは以下の二冊です。
ロジカルシンキング
二つ目は、ロジカルシンキングです。ロジカルシンキングは、論理的思考とも呼ばれ、情報を矛盾なく、体系的に順序立てて整理し、筋道を立てて結論に導くことを言います。
昇進試験のグループ討議は、議論の前に課題の紙を提示されて討議をどう進めるかを考える作戦タイムが設けられていますが、この課題の紙にある情報を読み込み、整理して討議にどう臨むかがポイントになります。また、短時間でライバルとなる受験生に自身の意見を聞いてもらためには、自分の意見を論理的に伝えなけばなりません。また、グループ討議中に論点を見極めていくことも必要になります。これらを行うためにはロジカルシンキングはとても役立ちます。
ロジカルシンキングでは、以下の二冊がおすすめです。
ファシリテーション
まず、ファシリテーションという言葉が聞き慣れない方が多いのではないでしょうか。ファシリテーションとは、会議やミーティングを円滑に進めるスキルのことで、ファシリテーションを実践する人のことをファシリテーターと言います。就活のときに選考でグループディスカッションを受けたことがある方からすれば、リーダー役が一番、イメージに合うと思います。
ただし、就活の時のリーダーは司会進行役というイメージを持たれる方が多いと思いますが、ファシリテーターはただ形式張って司会進行するわけではありません。ファシリテーターは、討議に参加しているメンバーが持つさまざまな意見を発言として引き出し、それらの発言を整理しつつ、議論を広げていき、最終的には議論を収束させて参加メンバーが納得する結論を導き出す役割を担っています。
このように書くと二つ目に示したロジカルシンキングと同じではないかと感じられる方も多いと思います。実際に類似しているのですが、ファシリテーションは会議の運営するスキルのことであり、スキルを行使する対象は集団なのですが、ロジカルシンクキングは自身の考えを体系的にまとめるためのスキルなので、対象は個人となります。なお、実際にファシリテーションのスキルを行使するためには、集団の考えをまとめていくためにもロジカルシンキングは重要なスキルです。
昇進試験のグループディスカッションでは、ライバルとなる参加者が集まり、異なる立場で発言しつつも、最終的には一つの結論を導き出す必要があります。つまり、ファシリテーションのスキルを知っておくことはとても役に立ちます。
なお、昇進試験では、一般的に優秀な人が参加していることから、リーダー役になることはなかなか難しいです。しかし、リーダー役でなくても、ファシリテーションのスキルを活用すれば、議論をコントロールすることができるようになります。
ここまでファシリテーションの概要を説明してきました。より具体的なことは本で学んだ方が良いと思います。ファシリテーションに関する本もビジネス本で多く出ていますが、その中で私がファシリテーションを学ぶためにおすすめする本は、以下の二冊です。
職場の会議を利用する
二つ目に挙げる勉強方法は、職場の会議を利用することです。ただし、この勉強方法は、まずは一つ目に挙げた知識を最低限、身につけた上で行うことをおすすめします。なぜなら、知識がない状態で闇雲にやっても効率が悪いですし、身につけた知識が実際に役に立つかどうかを感じてもらうことで自身の成長を感じることができるからです。
昇進試験のために職場の会議を利用するためには、必ず上司や同じ部署の同僚の協力をもらいましょう。そして、以下のことをお願いするとよいです。
- 会議の仕切り役を任せてもらう
- 会議の中で力を発揮した部分がどこなのか、教えてもらう
仕切り役を任せてもらうことで、単純に会議の中で必要となる行動が多くなり、会議の流れを学べるため、グループ討議に活かせる経験を積みやすくなります。二つ目は、個性は自身では客観的に見ることはできないので、第三者の目から自分が持つ武器がなんのか、あるいは弱点がどこなのかを教えてもらうためです。
また、普段の業務の中でこのような自己啓発の場を設けることで、昇進試験へのモチベーションも上げることができますし、自分自身を見つめなおして成長する糧を得ることができるのが最大のメリットでしょう。
グループディスカッションの演習を行う
三つ目の勉強方法は、今まで紹介してきた二つと違い、まさに試験対策です。なお、グループディスカッションといっても、形式や種類がいくつかあります。つまり、試験対策の効果を高めるためには、自分自身が受ける昇進試験でどのような形式でグループディスカッションを行うのか、調べておくとよいでしょう。
演習を行う方法として、皆さんがすぐにできるものは次の二つがあげられます。
- 知人を誘って、演習する
- 外部の教育機関を利用する
では、それぞれを見ていきましょう。
なお、昇進試験でグループディスカッションがどのように実施されるのかは以下の記事を読んでもらえると理解できます。この記事を参考に演習方法を決めましょう。
知人を誘って、演習する
グループディスカッションの演習を行う方法として、まず一つ目に挙げられるのは知り合いを誘って、実際にグループディスカッションを行うことです。
もちろん、知り合いといっても、だれでもいいわけではありません。誘うのに一番、おすすめなのは、同僚で一緒に昇進試験を受ける人、あるいは受けた昇進経験がある人です。前者は自身のライバルなので、真剣に取り組むことになりますし、後者ならば自身の経験をもとにアドバイスをしてもらうことができます。
演習の効果を最大限にするためには、以下の点に気を付けるとよいでしょう。
- 参加人数やタイムスケジュールなどの演習内容は、自社の昇進試験の形式に合わせる
- 参加するメンバーの中で少なくとも一人は討議に参加せずに試験官役にする
- 演習をビデオ撮影する
- 討議するテーマやテーマに関する情報は、演習時に開示する
- 演習は複数回、行う
一つ目は説明するまでもないですが、せっかくの機会なので、自分の会社の昇進試験に慣れておきましょう。
二つ目は、演習時の行動を第3者の観点で良かった点や改善が必要な点を見つけてもらうためです。なぜなら、演習時はどうしてもヒートアップしがちで、そのような状態では、自分がどのような行動を行い、それがどのような効果を生んだか客観的に振り返ることが難しいからです。
三つ目のビデオ撮影を行うことも二つ目と同じ理由になります。演習してそれで「はい、終わり」では勿体ありません。演習をあとで振り返ることが大事なので、ビデオで自分の良かった点や改善が必要な点を探すようにしましょう。なお、最も効果が高いのは、演習に参加したメンバーとともにビデオを流しながら反省会をすることです。
四つ目は、一つ目とかぶる面がありますが、昇進試験の本番も課題を知らない状態でグループ討議に臨むことになります。つまり、演習でも同じ状態で行うべきということです。
五つ目は、演習は1回きりで終わるのではなく、できれば3回以上は行いましょう。これは、1回目の演習で出た課題を2回目以降で改善できたかを見るためです。
なお、演習のテーマ設定をどうするか悩むと思いますが、正直、なんでも構いません。ネットを探せば就活で設定されたテーマがあるので、それを使ってもいいです。また、自身の職場の身近な問題を取り上げてもいいでしょう。もし複数回の演習を実施できそうならば、最後の方の演習は、自身の昇進試験で使われるテーマに近いものを選ぶとさらに演習で得らえる効果が高くなります。
外部の教育機関を利用する
最後に紹介するのは、外部の教育機関を利用することです。この方法のメリットは何といっても、実際に昇進試験の試験官を受けたプロにアドバイスをもらえることです。また、よほどのことがない限り、参加者も初対面の人なので、昇進試験と同じく知らない人といきなり討議を始めるという状態を経験できます。
デメリットはお金がそれなりにかかるということでしょうか。例えば、ネットで検索した以下のサイトでは、グループ討議演習3回分で18,843円でした。ただし、私は、時間をお金で買うことで、一番、効果を上げられる方法だと思います。
まとめ
ここまで、昇進試験で実施するグループディスカッション(グループ討議)の勉強方法、対策に関して、解説してきました。ここで書かれていることは、私が1回目の昇進試験で失敗して得た経験をもとに、必要だと感じたことをまとめています。
この記事を読んだ方の中には、正直、ここまで対策する必要があるのかと思われる方もおられるかもしれませんが、たいていの会社で昇進試験を受験できる機会はそこまで多くないはずです。少ない機会を活かすためにもできるだけ準備しておくことをおすすめいたします。
この記事を参考に皆さんも頑張ってくださいね。